質問4

コンテストで入賞した作品では、コンテストの主催者に、作品の使用権・著作権があるというように聞かされています。 作品を作った人の著作権は、 どうなってしまうのでしょうか?


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加藤 直之

 【コンテストと著作権】

 世の中にコンテストと名のつくものは、それこそ掃いて捨てるほどあります。中には、諸権利のことをまるで理解してない主催者もあるようです。

 その中でも特によく問題となる「応募作の著作権は主催者に帰属します」という募集要項。これにはいくつかの意味、問題が含まれます。

 一つめは、主催者がなにも知らなくて、他のコンテストの募集要項をまる写ししてしまう場合。昨今、一般にも著作権という権利が知られるようになって「応募作の著作権は主催者に帰属します」は少しずつ減ってきてはいますが、まだまだ多いのが実情。こんな主催者のはそもそも、著作権をきちんと理解していない場合が多い。二つめと重なります。

 二つめは、コンテストの運営上必要なために、主催者が一時的に著作権を管理する場合。例えば審査で審査員に見せたり公開したりするために複製が必要となる場合。そしてコンテストの結果発表を各媒体に発表するための放送、送信、印刷出版などのための複製が必要となる場合。実際には、以上のような条件をきちんと細かく定め募集要項に書いておけば応募者の側も安心ですし、へんな誤解もなくなるでしょうから、そうするべきだし、そうしたがっているのかもしれんませんが、その知識が主催者にない。こんな主催者は交渉して理を諭せばわかってくれるかもしれません。

 また「作品の独占使用権は主催者が行使します」とあった場合、公表媒体・期間・(使用料)について主催者側からきちんと説明があるのが理想です。最近はその応募作が直接、ビジネスに結び付くような場合、主催者が応募作品の使用許諾を取る場合、「優先的交渉権は主催者が持つ」といった、より具体的で良心的なものも増えています。

 三つめは、コンテストの名を借りて、応募作を商売に利用するために、主催者が著作権を欲しがる場合です。こちらの場合は主催者は商売が目的ですから、文字通り「著作権は主催者に帰属」としたがります。日本美術著作権連合では会員に、こういったコンテストへの審査員としての参加は自粛するように勧告しています。これに対抗するには、応募者が利口になるしかないような気がします。そのための関係雑誌や関係団体の行動も不可欠ですが。

 四つめは、応募作を商売に利用することを明確にしておいて、コンテストをする場合です、賞金もそれなりに大きくなりますし、賞金以外にも別途原稿料や印税が支払われる場合が多い様です。こちらは主催者もプロ、応募者を不安にさせるような募集要項はつくりませんし、それなりに安心です。

付記:童美連では過去「応募作の著作権は主催者に帰属します」要項を採用しているコンテストに会員が審査員として参加をしていて問題になったそうです。

 社団法人日本グラフィックデザイナー協会も、理不尽な募集要項を採用しているコンテストへは訂正をお願いしているそうです。

 そんな問題のある募集要項を採用しているコンテストの主催者には、地方自治体や企業が多いそうです。

  グラフィックフォーラムでは一時期、フォーラムで紹介されるコンテストの募集要項は、ぼくがチェックして問題のあるものは前もって訂正してもらっていました。また個人的にも審査員を引き受ける時は、これも前もって募集要項をチェックしていました。いちどグラフィックフォーラムで、オペルのデザインコンテストの募集要項が問題になったとき、オペルの社長さんにお会いすることができたので、そこを伺ってみると、代理店にまかせているということでした。最近、ある県の経済連主催のコンテストの問題で法律フォーラムに相談があった件でも、ある代理店が運営しており、コンテストと著作権の問題は一筋縄ではいかないな、と実感したところです。 



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