質問5

出版物に掲載されたり、掲載される予定の、クライアントのある作品(ギャラのある 仕事として依頼されたもの)を、自分の作品として、他の出版物や媒体に使用することは、どこまで許されるのでしょう?


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加藤 直之

 クライアントがいる場合の作品は、作者側がどれだけ自由にしてよいのか

これを説明すると長くなります・・

まず出版物、で漫画家を例にした場合を考えてみましょう。

 出版権を扱う場合、ふつう両者で出版契約書を交して、出版権の設定をします。そしてその出版権は出版社によって登録され、以後、他でそれが出版された場合、最初に登録した出版社がそれを証明できるので、他社を排除できます。それだけ強い権利ということですね。

もちろん、もともと出版権は著作者が(この場合、漫画家が)持っていますが、漫画家は通常・出版する能力がないので、その権利を一時的に(契約によりますが、特別に書いてない場合は3年)出版社に許諾するわけです。

そして、出版権を設定するのには契約書が不可欠です。これを口約束でやろうという出版社があったら、ちょっと問題です。

 仮に漫画家が、単行本になる前の雑誌連載の場合に出版社とそんな契約をしていて、そんな出版契約書の中に、「その全部や一部を、他に出版させてはならない」という条項が入っていたとしたら、それは出版社の編集者(担当者)レベルに判断を任せていてはいけないかも知れません。

 そんな契約書を交していないのだったら、担当さんへの、まあ、広告のつもりと思って下さい、といった連絡で充分でしょう。いわば映画の『メーキング』。公開前でも構わないでしょうけど、いったん公開されたものだたら、ぜんぜん問題無い。出版社にとっても広告の一貫としてオーケーを出すケースですね。

 でも、それは漫画家や劇画家が、小説家や絵本画家と同じ扱いだからです。

 普通のイラストレーターが出版物に携わる場合(例えばぼくの場合、本のカバーイラストですね)はそれと違い、ただの著作物の使用許諾を出版社に与えるだけですから、他で使おうが自由です。また他で使ったものを後で出版社に使わせることだってある。なんたって出版社がいろいろ文句を言えるだけの原稿料を払っているとは思えない。(残念ながら出版契約だってしない場合がほとんど。)

 ただし依頼があってゼロから絵を描く場合は、最初の発表は、その原稿料を払った出版物ででしょうね。発表前に他で使ったらマナー違反です。 いちおう連絡をするのが礼儀ですね。他の出版物で紹介する主旨の場合は、そんな時、書名や作者名、出版社名も入ったりしますから。

 ぼくは毎回、必ず前もって連絡をとってますし、出版社側も断われる雰囲気にはないようですが(いちおうこちらの立場が強い(^^;)?)、大体は「広告になるから」と喜ばれます。これまたもちろん、掲載された本はそれぞれの編集部に届くように手配してもらいます。それをしてくれないような所への再掲載は、断わることになります。

 最終的には信頼関係ですが、広告ではまた違うと思います。

 簡単にいうとそれは金額の問題。出版の場合、出版社から依頼があって

 仕事をしたとしても、その原稿料(著作権使用料)はおおむね広告の 10分の1ですから、広告のクライアントはそれなりの権利を主張するでしょう。でもそれは著作権ではなく、独占的な使用権でしょうね。

 著作権まで買い取るとなると、ギャラの桁がもう一つ上になるでしょう。

 ちょっと乱暴な概算ですが、例えば、本のカバーのギャラが10万円だとします。広告では100万円。それでも著作権はイラストレーターのもの。 著作権全部の買い取りとなると1000万円?? (これは経験なし)

 といったような考え方、計算方法になるでしょうか。 あくまで例です。じっさいには使われる媒体や範囲(印刷だけか、放送も含めるのか、日本だけなのか、世界に向けてのものなのか)ケースは さまざまです。        



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